少しずつ、見えるミライ

「あっ! バイトするとか、いいかもしれない。」

「え、ここで?」

「そう。私の後釜は決まっちゃったみたいなんだけど、他の時間帯なり、何なり、短い時間でもいいからそばにいる時間を作れば、ちょっとずつは心を開いてくれるんじゃない?」

「なるほど。」

「どっちにせよ、いきなりガッつくと嫌われそうだから、朝陽君の優しそうなキャラを生かしつつ、最初はゆっくり行った方がいいと思うよ。」

「ふ~ん。そうか.....。」



確かに、今、亜美ちゃんに紹介してもらったところで、どう動けばいいのかわからない。

旦那のことで傷ついてるんなら尚更、R`sの話題だけで仲良くなろうっていうのは無理そうだし。



でも、そんなに上手くバイトに空きが出るとも思えない。

しばらくは待ってみるけど、本当にそれしか方法はないのかな.......



なんて思いながら、学校帰りに遠くから見つめるだけの状態が半年以上続いた。

だけど、痺れを切らしつつもそれを励みに頑張っていたら、たまに仕事のオファーが来るようになった。

そして、その後、決して成績が良いとは言えない俺は卒論やら追試やらに追われ、仕事との両立でそれどころではな い時期もあったけど、それでも諦めずにいたら、卒業してすぐ、待ち焦がれたチャンスは俺の下に巡って来た。