少しずつ、見えるミライ

彼がチャッチャッと作った豆乳鍋はすごく美味しくて、これまた尊敬に値する実力を見せつけられた気分になった。

フワフワしてるようで、この子、本当に何でも出来ちゃうんだな。

普段から思いやりに溢れているし、優しいし、彼の奥さんになる人はさぞかし幸せだろうとか、自分はさておき、一般論的に思ってしまう。



「あっ、ヤバい! こんな時間じゃん。」

「まだ早くない? もう電車無いの?」

「無いよぉ。うち、何処だと思ってんの? ド田舎の単線はすぐ終わっちゃうし、タクシーだとトンデモない金額になっちゃうんだから。」



沙苗ちゃんの家は、千葉の奥の方だ。

位置関係はよくわからないけど、とにかく周りに何もないド田舎で、やたらと乗車運賃が高くて本数の少ない単線列車が、唯一の交通手段らしい。



にしても、まだ早くない?

前に来た時は、もうちょっと遅くまでいたような.......



「朝陽君、家、近いよね? 私、もう帰らなくちゃならないから、申し訳ないんだけど、後片付けよろしくね。」

「あっ、はい。」

「嘘? もう帰るの?」

「うん、悪い。じゃ、また明日ね〜!」



.......ってさ、バレバレだから。

沙苗ちゃん、このためにわざわざウチまで来たとか?

もう、勘弁してよ〜!!