少しずつ、見えるミライ

でも、何だかとても嬉しそう。

だから、その様子を見て私も嬉しくなる。

何となく、くすぐったいような、ウキウキした気持ちになって来る。



こんな気持ち、何年ぶりだろう。

遥か昔に忘れていた感覚を、ゆっくり思い出して行くみたいだ。

照れ臭いんだけど、楽しい。

てか、もしかして.......

これって、完全にときめいちゃってる?



「さぁ、できましたよ。沙苗さん、コンロの用意、いいですか?」

「うん。おっ、すごい! そういう盛り付け方、居酒屋でしかみたことない。」

「そうですか?」

「家でやるのに、普通、いちいち丁寧にここまでキレイな鍋、作んないでしょ。」



うん、確かにすごい。

手際良く、何でもないような顔をしてやってるけど、こんなにきれいに隙間無く、具材がぎっちり詰め込まれた鍋は、お店でしか見たことがない。



育った環境を考えれば、彼にとっては普通のことなのかな。

意外な一面を見たようで嬉しいし、改めて、ちょっと尊敬してしまう。

と同時に、彼に対して新たな興味が湧いて来る。