少しずつ、見えるミライ

_____ピンポーン。

二人が到着したようだ。



ザザッと一通り、細々したものは片付け終わったから、これで良し。

恐る恐る、そ〜っとドアを開けると、沙苗ちゃんがバッとドアを開け、勢いよく入って来た。



「お待たせ〜! さぁ、やろう。」

「う、うん。」

「お邪魔します。」

「あ、どうぞ.....。」



両手にスーパーの袋を提げた彼が、はにかんだような笑顔を見せる。

家に上がるとなると、いつもと勝手が違うのか、ちょっぴり遠慮がちな素ぶりに、私までがドキドキしてしまう。



「未帆さん、手伝ってもらえますか?」

「うん。」



はなから手伝う気の無さそうな沙苗ちゃんは、買って来たビールを冷蔵庫にしまい終わると、テレビを付け、くつろぎ始めてしまった。

となると、自動的に、キッチンに立つのは彼と私の二人きり。

沙苗ちゃんが料理が得意じゃないのは知ってるけど、あまりにわかり易い態度に、策略を感じずにはいられない。



かと言って、沙苗ちゃんがいてくれなかったら、この場はきっと持たない。

それは、彼から伝わる微妙な緊張感からもわかる。

器用に大根を刻みながらも、隣で水菜を洗う私をチラチラ伺う彼は、話しかける言葉を選んでいるように見える。