少しずつ、見えるミライ

だから、相方君に迷惑をかけないよう、自分でアパートを借りる資金を早く作りたいらしい。

だったら、もっと時給の高いバイトを探せばいいのに.....とも思うけど、たまに入るダンスの仕事に合わせて休みが取れないと困るし、彼に言わせれば、今は私のそばにいたいから、この状態が何よりベスト。

最も、うちの店にとっても、彼はいなくてはならない存在になりつつあるから、この点においては、何も言えないんだけど。



「未帆さんも、鍋、好きですか?」

「うん。」

「じゃあ、今度、作りに行っていいですか?」

「えっ!?」

「あ、いや、沙苗さん、実家だから、みんなで鍋やるなら、未帆さん家かなと思ったんですけど.....。」

「そうだよ、未帆ちゃん、やろうよぉ。ねぇ、ねぇ、ダメ?」

「.......。」



ちょっと何なの?

この見事な連携プレーは。

まさか、さっきの会話も、二人で相談して決めた「前振り」って言うんじゃないでしょうね。

.......う~ん、どうしよう。



「.......うん、わかった。いいよ。」

「やったぁ。サンキュ。」

「ありがとうございます。」