少しずつ、見えるミライ

それって、どんな人なんだろう。

二人の会話を聞きながら、頭の中で勝手なイメージを広げてみる。

芸能事務所の社長だから、きっとスゴい外車に乗ってて、焼けた肌がテカテカ黒光りしてて、香水をプンプン匂わせてて、バリッとした高級スーツで.......



「未帆さん、憶えてないですか? R‘Sのオーナー。」

「えっ? オーナー?」

「あの人です。」

「うそぉ?」



全っ然、イメージ違うじゃん。

水をかけられた時、すぐ謝りに来てくれたけど、あそこのオーナーって、よくカウンターでお酒飲みながらシェフと話してる人だよね。

いつもラフな格好で、おじさん?、お兄さん?、どっちなのかなって感じの、割と爽やか系だったような気がする。



「あの人、若い頃は自分も踊ってたらしいんですけど、今は事務所兼ダンススタジオとアパレルとダイニングバーやってるんです。メチャクチャですよね。」

「うん。でも、すごいね。そのパワー。」

「でしょ? だから、悔しいけど、何言われても説得力あるし、ついつい何でも相談しちゃうんですよね。」

「ふ~ん。」

「仕事のことはもちろん、恋愛のことも。」

「.......。」