少しずつ、見えるミライ

私を抱き寄せ、彼がすっぽりと腕の中に収める。

とても大切そうに、これ以上ないくらい愛おしそうに、黙っていても「愛してる」って言葉が聞こえて来ちゃいそうなくらいに。

温かくて、心地良くて、それだけでも身体の芯から溶けてしまいそうなのに、その後、朝陽が囁いた言葉は、私の心を震わせた。



「あのさ、俺が今、語れる夢って、あんまり具体的じゃないし、現実的じゃないこともあるじゃん? でも、未帆と一緒なら、どんなことでも頑張れるし、少しずつ夢を叶えて行けると思うんだ。今はまだ少しずつしか見えないかもしれないけど、二人でいれば、必ず幸せな未来を手に入れられるって、俺は信じてる。だから、これからもずっと、ずっと、ずっと、ず〜っと離さないから、俺のそばにいて。」

「.......。」

「ダメ?」

「ダメな訳.....ないじゃん。」

「あれ? 泣いてる?」

「だって.......。」

「ありがとう。愛してるよ、未帆。」

「.......。」

「これからも、よろしくね。」

「.....うん。」



確かに、彼と見る華やかな夢は、かつて憧れた堅実で安定した生活とは、掛け離れているのかもしれない。

だけど、少しずつでもいいよね。

一つ、一つ、叶えて行けば。



なぜなら、二人で頑張ったその先には、きっと待っているはずだから。

朝陽と一緒じゃなくちゃ見られない、大きな大きな夢と、最高に幸せな未来が.......