少しずつ、見えるミライ

ちょっとぉ、もう嘘でしょ。

こんな所で、急に泣かさないでよ。

ただでさえ慣れない場所なのに、突然そんなこと言われたら、涙で何にも見えなくなっちゃうじゃん.......



その後、後半に演奏した楽曲は、残念ながら、私の記憶にはあんまり残らなかった。

だって、思いがけないインパクトの大きすぎる特別プログラムのせいで胸がいっぱいで、とにかく幸せで、もう何にも考えられなくなっちゃったから。



フラッシュモブでも嫌だって言ったのに、こんなのってないと思う。

だけど、やっぱり嬉しかった。

最高に幸せだった。

愛する人に言葉にして伝えてもらうことは、何より心に響くのかもしれない。



ちなみに、その特別なプログラムは、家に帰ってもなお、私だけに続いていて.......

一万五千人の前で、何の準備もなく告白させられた彼は、まだ興奮冷めやらぬ状態なのか、絶対、疲れているはずなのに、待ち切れないと言わんばかりにベットに入る前から私を求めて来た。



いっぱい褒めてあげようと思ったのに、甘ったれた声で可愛くまとわりついて来たと思ったら、いきなり激しく迫るんだから手に負えない。

激しいダンスで弾け散っている汗を見た後だから、引き締まった身体がよりセクシーに感じるし、ステージの上で言ったのと同じ言葉を言われると、思い出して涙が出て来ちゃうし、何だか不思議な感覚のまま、いつもとは少し気分が違う夜を、思う存分、楽しむことになった。