少しずつ、見えるミライ

リリアの歌を聞きに来たのに、気付けば、朝陽がステージに出て来る度、無意識に目で追っている。

私、本当に朝陽のこと、好きなんだな.......

素直にそう思えることが、すごく、すごく、幸せだ。



最初は、「ダンサーって何なんだろう?」って感じだったから、彼が恋人になるなんて、まったく想像も出来なかった。

思えば、知らない世界に気後れして、毛嫌いしてる部分もあったんだろうけど。



でも、今は、朝陽を誇りに思う。

私をここに連れて来てくれたのは彼だから。

こんなに熱い気持ちを味合わせてくれる恋人なんて、そう簡単に見つけられるものじゃない。



ノリノリのナンバーを中心に構成された前半が終了すると、MCのコーナーが始まった。

リリア以外にもステージ上にいるメンバー数名がマイクを持っていて、メインで踊っているダンサーやバンドのメンバーが、簡単なコメントを添えて紹介されて行く。

ドキドキしながら朝陽の順番を待っていると、リリアの「あさひ~!」という掛け声ともに、大きな歓声が上がった。



「朝陽君、結構人気あるんだね。ちゃんとファンに認識されてるじゃん。」

「みたいだね。」

「あ、だって、ほら、見てみ。名前書いたボード出してる子もいるよ。」

「ほんとだ。」



何だろう、このくすぐったい感じ。

自分のことみたいに嬉しくて、ちょっとニヤけちゃう。



目立たないように一人で喜びを噛みしめていたら、再びリリアが朝陽を紹介するMCを始めた。

そして、トレードマークでもあるハスキーな声で、心臓が飛び出しそうなコメントをした。