少しずつ、見えるミライ

こんなに私が強くなれたのは、全部朝陽のおかげ。

誰よりも可愛くて、誰よりも愛おしい彼がいつもそばにいてくれたから、私は変わることができた。

卑屈になっていた私を、殻から出して温めてくれた彼を、今度は私が守ってあげたい。



一般の入場口とは違う所で受付を済ませ、案内された席には、いかにも業界人っぽい人達が集まっていた。

キラキラしたオーラがそこかしこに流れていて、それこそ座っているだけで緊張してしまいそうな席だ。



なのに、ソワソワする私とは対照的に、広めの席で、沙苗ちゃんは堂々とくつろいでいる。

沙苗ちゃんを連れて来て良かったかも。

こういう人がいてくれると、心強い。

スタンド席の真ん中だから、さすがに朝陽から見えないかもしれないけど、今日はここからしっかり観てるから、言葉通り、頑張ってる姿を見せてほしい。



そうこうしているうちに、派手な花火が打ち上げられ、幕が上がった。

すごい歓声、一気に観客のボルテージは最高潮。

この中で朝陽は踊ってるんだと思うと、それだけでテンションが上がって来る。



念のため、双眼鏡も持って来たけど、そんな心配は要らなかったようだ。

たくさんのダンサーの中から、一人を探すのは大変だと思ってたのに、これも愛の力なのかな。

リリアのすぐ後ろで、踊っている朝陽を、数秒で見つけた。



見つけた瞬間から、目が離せなくなる。

何だか感動して、熱いものがこみ上げて来る。

すごい! カッコイイ! 嘘みたい!

すぐに胸がいっぱいになって、まだまだ序盤なのに、早くも泣きそうになってしまう。