少しずつ、見えるミライ

これで、私の中にはもう何のわだかまりもなくなった。

修ちゃんのことも、離婚のせいで感じていたコンプレックスも、きれいに全部消えてなくなった。

ここからは余計なことは何も考えず、朝陽と向き合って、生きて行ける。



気を抜けば、ちょっとしたことがゴシップになるとか、明日の仕事を今日の夜、言い渡されるとか、みんなのスケジュールが合わないから、わざわざ夜中に打ち合わせをするとか、電話一本で、急に仕事が変更になるとか.......

朝陽の仕事は、まだまだ私には付いていけないことばかりだ。



でも、そんな仕事に就いているからこそ、普通の感覚を持った恋人の存在が重要なのかもしれない。

私には、そばにいて、応援して、気持ちの上で支えになることしかできなけど、そんな私を朝陽は必要としてくれる。

そう思ってもらえるから、未知の世界にビビりながらも頑張れる。

自分を変えることだって、もう怖くはない。



いろんなことが順調に動き始め、怖いくらい幸せな日々が過ぎて行く。

穏やかに月日は流れ、寒さも厳しくなった12月に入ったある日、朝陽が思いも寄らないプレゼントを持って帰って来た。



差し出されたのは、リリアからの手紙。

ゴージャスな金色の装飾が施された封筒には、カワイイ文字で「未帆サンへ」と書いてある。