少しずつ、見えるミライ

「修ちゃん、ごめんなさい。私、やっぱり修ちゃんのお嫁さんにはなれない。」

「.....やっぱり?」

「うん。私、朝陽がどんどん大きくなって行くのを、そばで見てたいの。」

「そうか。」

「ごめん.....。」

「いや、俺こそ、ごめん。彼と幸せに暮らしてるのに、邪魔するようなこと言っちゃって。」

「ううん、いいの。あの頃、修ちゃんにそんなに愛されてたんだってわかって、すごく嬉しかった。モヤモヤしてたこともスッキリしたし、またプロポーズしてもらえて、自信もついた。会えて、本当に良かったって思ってる。」

「うん。そうだな。」

「.......。」

「未帆が幸せでいてくれれば、俺も嬉しいよ。」



修ちゃんは、笑顔で私の頭をポンポンとすると、そのまま手のひらを頭の後ろに回して、抱き寄せた。

そして、驚いて何も反応できない私のおでこに、軽くキスをした。



「ありがとう。俺、未帆と結婚して本当に良かった。短かったけど、幸せだった。」

「.......。」

「これからも、もし何かあったら、遠慮しないで連絡しろよ。俺がまだ未帆よりイイ女見つけられないでいたら、いつでも迎えに行くから。」

「うん、でも.....。」

「嘘だよ。俺のことなんか忘れちゃうくらい、幸せになってくれないと諦められないだろ。」

「.......。」

「じゃあな、元気で。絶対、幸せになるんだぞ。」



抱き寄せていた腕をほどくと、修ちゃんは私としっかり目を合わせて言った。

それから笑顔で手を振って、サヨナラなんかじゃないみたいに、清々しく去って行った。