少しずつ、見えるミライ

リリアと彼のゴシップはショックだったけど、私たちにとっては絆を深めるいいキッカケにもなった。

私のことを思い、無理をして飛んで帰って来てくれた彼の姿に、私は頼もしさを覚えた。

泣きながら信じて待っていた私を、彼も前にも増して愛しいと思ってくれたようだ。

辛い思いをした分、お互いへの信頼は、確実に強くなったように思う。



だから、修ちゃんにはきちんとサヨナラを言おう。

望みを持たせたまま、いたずらに待たすのは良くない。

待っていてくれるのは嬉しいけど、それでも私は、やっぱりどうしても朝陽と離れられないから。



修ちゃんが出発する数日前、二人で会う約束をした。

これで最後。

もう会わないつもりの約束を 。



修ちゃんは、私が言おうとしていることを、何となくわかっていたのかもしれない。

その日の修ちゃんは、わざと楽しそうにしているようにも見えて、一緒にいて胸が痛んだ。

まるで離したくないって言ってるみたいに、待ち合わせ場所からずっと、しっかり手を繋いでいたし。



だけど、こんな曖昧な関係のままでは、会えば会うほど辛くなる。

それがわかっているのに、これ以上気持ちを寄り添わせてしまったら、本当に忘れられなくなってしまう。



修ちゃんは私にとって、理想の旦那様だった。

こんな魅力的な人のお嫁さんになれて幸せだった。

そう思える今だからこそ、ここでお別れしなくちゃいけない。

素敵な思い出のまま、記憶に止めて、サヨナラするべきなんだと思う。