少しずつ、見えるミライ

希望を聞いて、手ごろな焼き菓子のセットを一緒に選んだ。

少し話しただけで、不思議と懐かしい感覚が蘇って来る。

すぐに緊張が解れるのも、夫婦だったっていう過去があるからなのかもしれない。



なのに、すっかり安心して、選んだお菓子を紙袋に入れて手渡したら、予想もしなかったことが起こった。

修ちゃんの右手が紙袋の取っ手を掴んだと思ったら、次の瞬間、反対の手が私の手をしっかりと掴んだ。



えっ? うそ!? ちょっと!?

これ、どういう意味〜!?

一瞬で身体が硬直する。

たったそれだけのことなのに、心臓のバクバクが止まらない。



「あのさ、未帆とゆっくり話したいんだ。」

「.....うん。」

「いつでもいいから、連絡くれない?」

「う、うん。」

「俺、番号もメアドも変えてないから、頼む。」

「いいよ。」

「あ、てか、今日の夜とかダメかな? 」

「へっ? あ、うん、いいよ。」

「ありがとう。」

「じゃあ、私、番号変えちゃったから、仕事終わったら連絡する。」

「知ってる。」

「え?」

「あ、何でもない。じゃあ、連絡待ってる。」

「うん。」



うそぉ、いきなり約束しちゃったよ。

何だろう、この気持ち。

とにかくビックリしたし、ちょっとキュンキュン?

相手が、別れた旦那だけに、よくわかんないよ.......



隣から覗いてる悪代官と、うちの小姑の視線が痛い。

そりゃそうだよね。

何か言いたくてたまらないのは、見ててもわかる。

でも、無理。

答えられないから。

自分でもよくわからないことになってるのに、突っ込まれても反応できないもん。