少しずつ、見えるミライ

最初に修ちゃんが訪ねて来たと聞いた時から、実はかなりドキドキしていた。

でも、そんなこと、口が裂けても言えない。

実際、その時だって、私は冷蔵庫の中で、愛情たっぷりに、朝陽に纏わりつかれていたんだから。



リリアのツアーが始まったから、しばらくの間、朝陽は休職扱いになる。

今なら、いつ修ちゃんが訪ねて来ても、安心だ。



今日は会社が休みのはずだから、来てくれるかもしれないな.......

そう思った矢先、包装紙の在庫を確認していたら、背後から、聞き覚えのある優しい声が聞こえた。



「すいません。」

「.....はい。」



モノトーンのおしゃれな装いに、キリっとした涼しげで大きな瞳。

ドキドキしながら振り返ると、正統派のイケメンが、柔らかな笑顔を浮かべて立っていた。



「久しぶり、元気にしてた?」

「う、うん。修ちゃんも、元気そうで良かった。」

「髪、切ったんだね。すごく似合ってる。」

「ほんと?」

「うん。少しやせた? 何かキレイになった。」

「そう?」



そう言われて、ちょっとドキッとした。

旦那だったはずだったのに、そうじゃないっていうか.......

何かすごく変な感覚で、修ちゃんが、「よその男の人」みたいに感じる。



「今日はどうしたの?」

「あぁ、うん。とりあえず、取引先に持って行く手土産のお菓子、頂こうかな。」

「はい。ありがとうございます。」