少しずつ、見えるミライ

「もう、無理。別れよう。」

「.......未帆?」



修ちゃんの腕の中で、一言だけ呟いた。

そうしたら、なぜか修ちゃんは、とても切なそうに私をきつく抱きしめた。

別れを切り出した妻に、そんなことをする意味がわからない。

だけど、しばらく黙ったまま、そうしていて、修ちゃんは私を離そうとはしなかった。



「わかった。傷つけて、ごめん。」

「.....うん。」



それが、最後。

私は、一旦、実家に帰り、荷物の整理やら、いろんな手続きやらが済んでからは、修ちゃんとは連絡を取っていなかった。



朝帰りをした日に抱きしめられてから、ずっと二人の間はギクシャクしてたから、正直、後味の悪いサヨナラだったと思う。

そのせいで、余計に私は落ち込んだし、裏切られたはずが、修ちゃんに悪いことをしたのかもしれないんて悩むこともあった。



だから、新しい恋を見つけようなんて思わなかったし、度々、自分を責めることもあった。

もしかしたら、私の方にも何か原因があったのかもしれない。

私が可愛い奥さんじゃなかったから、魔が差したのかもしれないって。



そして、月日の経過と共に、それはどこかでねじ曲がった発想になり、私が恋に臆病になってしまう原因にもなった。

恋愛や男性に関してはネガティブな発想しかできなくなって、いつしか自ら硬い殻に閉じこもるようになってしまった。