少しずつ、見えるミライ

無理矢理、聞き出したのは、社内に流れる修ちゃんの噂。

あの日、つまり、同僚の結婚式の夜のこと。

酔いつぶれるほど飲まされた修ちゃんを、お持ち帰りした子がいるらしい。



その子は入社以来、修ちゃんに片思いしていて、私たちの結婚をよく思っていなかった。

だから、あの日、何とか修ちゃんを誘い込み、関係を持った。

そして、その後もしばらくは、それをネタに修ちゃんにアプローチしたり、自分から社内に噂を流したりしていたそうだ。



こんなことだろうと予想はしていたから、その場は割と冷静に乗り切れた。

あくまでも噂だ、本当かどうかはわからないと言いつつも、心配そうでいて、どこか面白がっているような二人の表情に刺激され、負けたくないという気持ちが働いたからかもしれないけど。



でも、家に帰って一人になったら、溢れるように涙がこみあげて来た。

修ちゃんは、あの日、他の女を抱いた手で私を抱きしめたんだ。

気持ち悪い。

そんな手で触られたくない。

どうしてそんなことが平気でできるの.......?



あの日から、何となく修ちゃんに触れられないようにして来た。

私が遠ざけているのに気付いたのか、修ちゃんも無理に触れようとはしなかったし。

でも、触れられたくない理由は、自分の中では、ハッキリしていなかった。