少しずつ、見えるミライ

そんな毎日にピリオドを打ったのは、同期の友達とのランチ会。

結婚退職した私を含めた三人で、クーポン券が使える話題のイタリアンに挑戦した日だった。



二人はまだ独身。

一般職だし、年齢的にも、だんだん会社に居辛くなって来る頃。

うちの会社は社内恋愛も推奨されているのに、これと言った相手もいないし、なかなか上手く行かないと二人はボヤき出した。



美味しい料理を頂きながら、お酒も入って、話がどんどん盛り上がる。

次第に、友人たちも気が緩んで来たのか、微妙な話題が登場し始めた。



「未帆はいいよね。理想のダンナさん、見つけて、お望みの安定した未来を手に入れたんだから。」

「そう?」

「でも、金橋さん、モテるから、いろいろ大変だよね。」

「え? どんな?」

「いや、いろいろ。」

「いろいろって、何?」

「あ、ううん、何でもない。」

「教えてよ。」

「いや、いいよ。」

「どうして?」

「だって.....。」

「私、毎日、家の中にいるだけだから、会社での修ちゃんのこと、よくわからないの。そうやって隠されると、余計に疑っちゃうじゃない。」

「.......。」



気付けば、興奮して、声を荒げていた。

自分でも、どうして突然そんなことを言いだしたのか、よく覚えていない。

でも、きっと、修ちゃんとの関係を壊したくなくて、しまい込んでいた気持ちが爆発したんだと思う。



モヤモヤの原因も、多分、これ。

あの日、抱きしめられて無意識のうちに封じ込めてしまった感情が、一気に私の中を覆い尽くした。