少しずつ、見えるミライ

「お疲れ様です。」

「おっ、朝陽じゃん。コンビニ?」

「はい。」

「その後、どっかの部屋行く?」

「いや、まだ決めてないです。」

「ねぇ、じゃあ、プール見に行かない?」

「プール?」

「うん。私の部屋から見えるの。南国リゾートって感じでムードあるから、プールサイドで、ちょっと飲もうよ。」

「あ、はい。いいっすよ。」



誘われるまま、コンビニでビールと缶入りのカクテルを買って、リリアさんと一緒に、上層階にあるプールに向かった。

もう夏じゃないからプールには入れないようになっているけど、どうやら見晴らしの良いテラスの部分だけは、宿泊客に解放しているらしい。



入ってみると、プールサイドには洒落たバーカウンターもあるし、ヤシの木やらハイビスカスやらの装飾が所狭しと並んでいて、確かに雰囲気がある。

いかにもセレブが好きそうな高級会員制リゾートみたいな感じの場所だ。



にしても、すげーな。

リリアさん、これより上の階に泊まってんのか?

ってことはスイート?

一回でいいから、未帆と一緒に泊まってみたいなぁ.......



「すご~い。星、キレーだね。」

「ほんと、すごい。」

「あ、ねぇ、今、私じゃなくて、彼女と来たかったとか思ってたでしょ?」

「いや、そんなことないですよ。」

「嘘ついてもダメ。朝陽はすぐ顔に出るから、わかっちゃうもん。」

「マジすか?」