少しずつ、見えるミライ

困ったみたいな可愛い表情を見せると、彼女は目線をそらし、言葉を探し始めた。

そして、少しの間、黙り込んだ後、かなり嬉しい一言をくれた。



「私が好きなのは、『朝陽』っていう男の子なの。」

「へ?」

「もちろん、夢を叶えるために頑張ってる朝陽は大好きだし、本当に応援してるけど、ダンサーだからとか、バック転できるからとか、何かキラキラしてるからとか、そういうのは一切関係無しに、私は朝陽っていう男の子本人、そのものが好きなんだと思う。」

「.......。」

「だから、もし、将来、そういう言葉をくれるとしても、そのまんまの状態で言ってほしい。そういう時だからこそ、普段通り、二人でいる時の、いつもの朝陽でいてくれた方がいいかな。」

「.....うん、わかった。そうするね。」



あぁ、もうヤバいくらい嬉しい。

それって、どんな状況であれ、俺自体が好きってことだよね?

こんなこと言われて、幸せを感じない訳がない。



出発前に、いい感じにテンションが上がる。

嬉しくて思わず抱きしめてキスしたら、盛り上がっちゃって、朝から濃厚なキスになっちゃったけど.......



その言葉が、強い自信になった。

大丈夫。 未帆は俺のことを待っていてくれる。

たとえ、あいつにやり直そうって言われたとしても。



だから、俺は未帆のためにも、頑張らなくちゃいけない。

頑張る姿を見せて、もっともっと好きになってもらいたい。