「よく他のテナントの人に聞かれるんだよね。内田さん、ペット君と仲良いけど、やっぱり付き合ってるの?って。」

「マジ?」

「さぁ? って、一応答えるけど、見てりゃわかるって。二人の行動パターンって、ヤっちゃってるカップルそのものだもん。」

「な、何だよ、それ!?」

「私、これでも大学で心理学専攻してたんだよね。だから、店長が朝陽君の制服の腰の辺りを引っ張ってるの見た時、ピンと来ちゃった。普段、わざとらしいくらい近付かないくせに、いきなりそんなとこ、引っ張る訳ないもん。」

「.......。」

「朝陽君も同じだよ。無意識に、背中よりも下の位置に触ってる。それ以外にも、目に付くところ、いっぱいあるけど、それが何より決定的。」

「.......。」

「店長って、バツイチでアラサー、しかも地味に仕事一筋って感じの人だったんでしょ? それが美味い具合に可愛いいペットを手に入れて、陰でコソコソやってるなんて、何か悔しいじゃん。意地悪したくもなるって。」

「ちげーよ。」

「は?」

「未帆は、全然そんなつもりなかったんだよ。始まりは、俺の一方的な片思いだから。」

「嘘ぉ? そうなの?」

「ここの人たち、よくペットって言葉、使いたがるけどさ、だから、俺らの場合、ちょっと違うんだよね。俺が必死でアプローチして、やっとここまで漕ぎつけたんだから、邪魔しないでくんない?」