少しずつ、見えるミライ

後ろから制服のコックコートの腰の辺りを引っ張ると、彼は振り返って、笑顔を作って見せた。

だけど、ちょっと元気がない?

この様子はやっぱり、訪ねて来たのは修ちゃんだって気付いてるのかな.......



かと言って、聞かれてもいないのに、私からこの件について切り出すのはおかしくない?

だって、どう考えても、元旦那が訪ねて来ましたって、わざわざ言う方が無神経だと思う。

彼に聞かれるまでは、黙っておいた方がいいよね.......?



「どうしたの? ぼ~っとして。」

「え? そう? ぼ~っとしてた?」

「うん。」

「大丈夫だよ、何でもない。」



そう言われたら、それ以上、何も言えない。

でも、明らかに頑張ってる感じの笑顔が、やっぱり気になる。



修ちゃんが何を言いに来たのかわからないけど、会ったからと言って、私の気持ちが動くことはない。

私が愛しているのは彼で、今の私に必要なのは、彼のくれる真っ直ぐな愛情。

彼と出会っていなかったら、私はまだ殻の中に閉じこもったままだろうし、恋をしようとすらしていなかったに違いない。



ここで下手に修ちゃんの名前を出したら、彼を傷つけてしまうかもしれない。

聞かれたら、もちろん、何でも話すつもりだけど、今はまだそっとしておいた方がいいのかな。

だけど、彼の気持ちを落ち着かせてあげるには、どうしたらいいんだろう.......