少しずつ、見えるミライ

言い終わった時には、彼はもう私の唇を塞いでいた。

しかも、すぐ止めるどころか、最初から舌をねじ込んで来ている。

ちょっと!! 嘘でしょ?

誰か来ちゃうよ、ホントにダメだって.......



そう思いながらも、絡まる舌の感触が気持ち良くて、だんだん力が入らなくなって行く。

でも、彼の左手が動き出して、私の胸を掴んだところで、さすがに我に返った。

ダメ、ダメ、今はダメ!!

本心は全然イヤじゃないけど、その手を制止して、一応、抵抗を試みた。



「おしまい。続きは帰ってから。」

「ダメ?」

「当たり前でしょ。」

「わかった。じゃあ、今日は、後で、い~っぱいしようね。」



甘ったれた声で言うと、彼は私の首すじにキスをして、可愛い笑顔を見せた。

まったく、もう。

あぁ、驚いた。

仕事中なのに、すっごいドキドキしちゃったじゃん。



だけど、やることが可愛いな。

本当にペットがじゃれついてるみたい。

スイッチが入った途端、突然、オオカミに変身するところが、ちょっと困った子ではあるけど。



さぁ、気持ちを入れ替えて、仕事、仕事!!

あんまりゆっくりしてたら、怪しまれちゃう。

そろそろマダムも来る頃だろうし、早く売り場に戻らなくちゃ。