少しずつ、見えるミライ

一緒に暮らすようになってからは、一人の時よりもきちんとご飯を作ったり、マメに掃除をしたり、人として当たり前のようでいて、できていなかったことが、たくさん改善されて行った。

その分の負担はあるものの、彼と楽しく過ごすためだと思うと、それらのすべてが楽しい。



デパ地下の仕事だって同じ。

一日中、立ちっぱなしで足はパンパンにむくむし、決して良いお客様ばかりじゃないし、思うように売り上げが上がらないことだって、廃棄を出して凹むことだってあるけど、前にも増して頑張っている気がする。

それが自然とできちゃうのは、彼がそばにいるから。

頑張ってる姿を見て、応援しよう、私も頑張ろうって思えるからなんだと思う。



そして、迎えた火曜日。

彼がまた一つ、夢への階段を上ろうとしていると思うと、私にも気合が入る。

由貴ちゃんと一緒だから心強いし、接客が間に合っていない時は、沙苗ちゃんが上手くフォローしてくれるだろう。

彼の分まで頑張るつもりで、今日一日、何とか乗り切ろう。



がしかし、場合によっては、残業をする覚語だ。

と言うのも、デパート側から、あんまりありがたくない連絡があったから。

外商部の松井さんは、内線電話越しに、優しい声で、いとも簡単にこう言い放った。



「包装紙はうちのものにしてほしいそうなので、よろしくお願いします。」