少しずつ、見えるミライ

黙って頷くと、彼の唇がそっと触れた。

最初は感触を確かめるように、軽く触れるだけ。

その後、小さく啄ばむようなキスを繰り返し、少しずつ角度を変えながら、だんだんと外国の映画に出てくるみたいな深いキスになって行く。



おねだりの仕方までは可愛かったけど、決して子供っぽいキスじゃない。

「いっぱい」なんて可愛い言葉じゃ、とても片付けられない大人のキス。

唇を甘噛みしたり、舌を絡めたりしながら、少しずつ激しさを増して行く。



されるがままになっているうち、あまりの心地良さに、頭の中はすっかり真っ白だ。

指先までフワフワして、もう力が入らない。

濃厚なキスのおかげで、この後、何をされても良いっていう気持ちになって来る。



彼の唇が、さらにい唇じゃない所に移動し始める。

頬、こめかみ、おでこ.....あらゆるパーツにキスをして、吐息を吹きかけながら耳たぶを軽く噛んだ後、首筋を伝い、ゆっくり下へ下へと下りて行く。



この後、どうなっちゃうのかな。

やっぱり押し倒されちゃったりするのかな......



そう思ったら、緊張して来た。

急にドキドキが止まらなくなった。

なのに、胸の谷間まであとほんの少しの所で、滑らかだった彼の動きが、突然、ピタっと止まった。



あれ? なんで? どうしたの?

これって、何か意味がある?

甘いキスに蕩けそうになっていた気分が、一気に急下降して行く。