少しずつ、見えるミライ

今日は二人とも早番だったから、一旦、家に帰ってご飯を食べてから、彼はR'sのバイトに出かける予定だ。

R'sに行けば賄いにありつけるから、順也君の所にいた頃は、デパ地下でのバイトが終わるとそのまま直行していたらしいんだけど、今はギリギリまで家にいて、少しでも多く、私と過ごす時間を作ろうとしてくれる。



帰って来るのは、だいたい終電の時間。

遅い時は2時近くになることもある。

彼は「先に寝てて」って言うけど、顔だけでも見たいから、睡魔に負けず起きていられる日は、私も頑張って待つようにしている。



「あぁ、行きたくない。せっかく未帆さんと一緒にいられる日なのに。」

「ごめんね。本当は休みが合わせられればいいんだけど、今の人数だとなかなかそうも行かないから。」

「わかってる。だから、一緒にいられる時間は、うんと仲良くしよう。」



そう言って、擦り寄って来ると、彼は私の肩を抱き寄せた。

一瞬、小さなドキドキが起こり、彼の体温を感じると、それが安らぎに変わる。

彼の肩に頭を乗せたら、空いている方の手が伸びて来て、私の髪を梳きながら、頭を抱え込んだ。



「ねぇ、今日の御褒美に、いっぱいキスしていい?」



耳元で囁く声に、身体が反応する。

可愛いおねだりの仕方に、胸の奥がキュンとして、まだキスされていないのに、じわじわとゆっくり身体が火照り始める。