少しずつ、見えるミライ

って、わっ!! 高畑のマダムじゃん!!

てか、なんで、うちの店?

いつもは、来店しても、一番奥にある超高級店しか行かないよね?



「じゃ、よろしくね。高畑ですけど、外商の松井さんに言えばわかると思うんで。」

「は、はい。ありがとうございます。」



すごい、すごい、すごい!!

あのマダムから、大量注文、ゲットしちゃった。

うっわぁ、やった~!!

気に入ってもらえれば、今後も大量注文が期待できる。



あのマダムは、デパート内では有名人だ。

幼稚園経営者の奥さんで、たまにフラっと現れては、豪快にお買い物を楽しんで行く。

家族で大御得意様だから、いつもはデパートの人たちが腰巾着みたいにくっついてるのに、そう言えば、今日は珍しく一人?



「ねぇ、ねぇ、これって、すごいの?」

「うん、すごい、すごい!! ビックリしちゃった。」

「マジ? 俺、偉い?」

「うん、偉い。ありがとう。」



って、コラ!!

敬語使わないとバレるじゃん。

でも、ま、いいか。

特に聞かれてなさそうだし。

とりあえずは、よくやった。



「目が合ったから、試食奨めてみたら、気に入ってもらえた。外商の人は同じような店ばっかり連れて行くから、つまんないのよって。」

「ふ~ん、そうなんだ。」

「さっきの注文、幼稚園で何とか会のお手伝いしてくれた保護者に配るんだって。」

「あぁ、なるほど。」