少しずつ、見えるミライ

次の日、出勤すると、由貴ちゃんに辞令が出ていた。

正社員に昇格、そんでもって駅地下コンコースの売店の店長に任命。

とりあえずは、おめでたい。

盛大にお祝いしなくちゃ。



でも、しかし..........

寂しくなるし、正直、かなり困る!!

ヘタレな私が彷徨っている時、いつも助けてくれたのは由貴ちゃんだった。

ウジウジ悩んだ挙句、クールで男前な由貴ちゃんにズバッと言ってもらって決断したことが、今まで何度あったかわからない。



しかも、代わりに来るのは新入社員。

噂に寄ると、どうやらコネで入社した、やる気のない問題児らしい。

そんなの教育する自信ないってば。

他にも店舗はいっぱいあるんだから、わざわざうちに回さなくたっていいのに。



あぁ、ツイてない。

それ聞いて、嫌な予感しかしないもん。

でも、幸い、再来週までは由貴ちゃんがいてくれる。

由貴ちゃんに事情を話して協力を仰げば、彼のビデオ撮りの日までは何とかなりそうだ。



だけど、もしこの仕事が順調に行って、今後、彼がもっと仕事を取れるようになったら、今と同じように勤務っていう訳には行かなくなるだろう。

彼を思えば、もちろん、それは望ましいことだけど、一緒にいられる時間が少なくなると思うと、やっぱり寂しい。



一緒にいるのが当たり前のようで、当たり前じゃないんだよね。

彼の成功を祈って、この時間をもっと大切にしなくちゃ。