少しずつ、見えるミライ

せめて、もうちょっと若かったら、少しは自分に自信が持てたのかな。

或いは、何にも考えず、初めから勢いで彼の胸に飛び込んじゃった方が良かったのかな.......



______ピンポーン。



考えすぎて、すっかり現実逃避し始めた頃、タイミング良くチャイムが鳴った。

ドアを開けると、彼が心配そうな顔をして立っている。



「あ、おかえり。」

「大丈夫?具合悪いんじゃないよね?」



彼は「ただいま」も言わず、いきなり私の両肩を掴むと、おでことおでこをくっつけた。

もしかして、これって熱でも測ってるつもりなのかな.......



「熱はないよね? 本当に体調悪くない? 何か元気ないみたいだったし、すぐ帰っちゃったから、心配しちゃった。」

「ごめん。何でもないから大丈夫だよ。」

「ホント?」

「うん、平気。」

「そう? なら、良かった。」



こんなに優しい彼に、余計な心配をさせるのは良くない。

勝手に悩んでネガティブになってる私に、彼を付き合わす必要はないんだから。



でも、いつかは答えを出さなくちゃいけないことだ。

返事を遅らせ、いつまでも焦らしているのだって、決して良いことじゃない。



「今日はカレーだよ。」

「臭いでわかった。早く食べよう。」

「うん。じゃ、ご飯食べて、お風呂入ったら、今日はこの前、録画した映画でも見ようか?」

「うん、そうしよう。」