少しずつ、見えるミライ

銀行にいる時から、お客さんと話すのは嫌いじゃなかった。

お客様と会話をしている間は余計なことを忘れられるし、喜んでもらえると幸せな気持ちになれる。

売っている商品も好きだし、女性が中心の職場だから、頑張れば正当に評価もしてもらえる。

仕事に逃げたはずが夢中になって、いつの間にか契約社員になり、正社員になり、予想以上のスピードで店長にまで上りつめたものの、気が付けば、結局、充実しているのは仕事だけ。



私の人生って、このまま、何事もなく終わるのかな。

それって、どうなんだろう.......



そうは思えど、なかなか自分から恋愛をする勇気は出せなかった。

離婚の原因が浮気だったから、とにかく自分に自信が持てなかったし、裏切られるのが怖かった。

次第に自分の周りにバリアを張り巡らせるようになり、恋の始めるどころか、ときめく気持ちすら感じなくなっていた。



なのに、そんな私の前に、ある日突然、可愛い王子様が現れた。

何の取柄もないバツイチアラサーの私には釣り合わない、キラキラした七つも年下の王子様が。



しかも、未知の世界からやって来た王子様は、毎日、私に味わったことがないようなドキドキと、真っすぐで温かい愛をくれる。

だから、私は勘違いしてしまいそうになる。

今度こそは信じてもいいんじゃないか、何があっても、この人なら私を一生愛してくれるんじゃないかって......