それは和哉に話しかけれたり、和哉から話しかけられたりすることがすごく嬉しいという事。あと絶対に、一番和哉だけには嫌われたくない。
ということ
朝の挨拶「おはよう」は私たちにはない。だけど和哉は毎朝、私に同じ言葉で話しかけてくる。
「栞織、こっちに入ってる」
いつもの言葉。私が机の上に置いたスクバの紐が少しだけ和哉の机に入っている、と文句を言ってくる。まぁ、入っていなくても必ずだけど。
何でそんなこというのかはわからない。授業中とかは自分の方が私の机にノートとか入れてくるくせに、朝はダメみたいだ。
でもそんな一言に私は嬉しく感じてしまう。ごめんって言いながらも心はウキウキだ。
その後は、特に他に会話はしないまま朝学の時間になった。
わたし達、中学三年生の10月はもうthe受験生真っ只中だ。
私たちの学校では朝の10分だけを朝学習(朝学)の時間として勉強するのだ。

