あまり代り映えしない景色の中を歩いて坂を上がったり、下がったりする。


黙々と歩いていると学校まで誰も合わないままついてしまった。まぁ、いつものことだ。


吹奏楽部の音が微かに聞こえる校舎の中に入って、一気に四階まで上る。3年の階に着くと他のどの階よりもうるさく活気ずいていてなんだか安心した。


教室に入ると小学生の頃から見知った顔がたくさんあった。

「おはよー」

友達が挨拶をしてくれる。

「おはよ」

私も挨拶をして自分の席に向かう。



でも、隣の席でカバンの準備をしている男子を見つけて少しゆっくりになる足。ちょっと小さめの背丈に少し色素が薄い髪。私はその子の隣の席にカバンを置く。


その時に、やっと彼は私に気づいたようでちらっと私を見た。切れ長の整った瞳が私を一瞬捉える。すぐに彼は目を伏せたけれど、その一瞬で私の胸はギュッとなった。