「2人ともどうかした?」

「ううん、何でもないよ。
みぃはやっぱり可愛いなと改めて思っていたところ」

「桜……いつもお世辞が上手ね」

みぃは、桜の言葉を本気で受け取らないのはいつものこと。

「いやいや、本気なんだけどな……」

桜の小声の呟きはみぃには届かなかった。



何はともあれ、みぃの纏う雰囲気も元に戻ったし、葵の応援しなきゃな。





葵は、コートに立つとすぐにみぃの場所を見つけて、手を振った。

みぃもつられて手を振る。

一瞬にして、2人の空間が出来上がった。

みぃの体は大声を出すと体に負担がかかってしまうので、見守るコトを約束している。

じっと見つめる先にはいつも葵がいて、穏やかに見ている。

横に座る桜は、「頑張れ〜」や「やった〜」など、スポーツ観戦ならではの応援の仕方を楽しんでいる。

俺を挟んでの2人は両極端だった。