「葵、なんて?」

電話を終えると、桜ちゃんが俺の側に来た。

「ん?とりあえずここに座ってくれる?」

ソファの横を空けた。

迷いもなくストンと腰を降ろした桜ちゃん。

「葵からなんだけどね、今のみぃの状態、前に話したでしょ?」

桜ちゃんには結構な頻度でみぃの状態を話したりしていた。

「うん」

「明日から少し動いてもいい事にしたの」

「……うん」

「それで、桜ちゃんは葵の試合の事、みぃに言ったんだよね……」

「うん、気分転換出来ればって思って」

「う〜ん、桜ちゃんの気遣いも嬉しいんだけど、少し早かったかな……」

「え?」

「明日から、家事の一つをやってもいい事にしたんだよ。
外出はもう少し先の方がいいかな」

「……そっか、ごめんなさい」


「桜ちゃんの気持ちも嬉しいんだよ。
みぃの事を考えてくれてるからね。
でも、葵本人から伝えさせてあげて欲しいかな……」

「え?」

「葵、試合の事、言えてなかったみたいでさ」

「私、余計な事しちゃったの?」

「大丈夫。喧嘩にはなってないから」