「だから、私ここ数年病院行ったことないんですよ」
「え?どう言うこと?」
「あ……少し体調悪いくらいなら自力で治します」
だんだん声が小さくなる桜ちゃん。
俺も医者だから、気を使ったのかもな……
「病院変えてみれば?」
「え?」
「だから、無理してそこに通うことはないってこと」
「…………………」
「桜ちゃん?」
何故か固まってしまった桜ちゃん。
「お〜い」
目の前で手を振ると、ハッと我に返った桜ちゃん。
「そんな事、考えたことなかったです」
「そうなの?」
「はい。
いつもそこに行っていたので、そこに行くものだと思い込んでました。
そうですよね。
先生が嫌なら変えればいいんですよね」
何か吹っ切れた感じの桜ちゃん。
「今度体調悪くなったらここにおいでよ」
「え?ここですか?」
「うん、ここの病院の先生は、そんな無理やりやる先生は殆どいないし」
「殆どって事は、居ることは居るんだ……」
「まぁ、そうだね。
たまにだけど……
そんなに気になるなら、俺に連絡くれれば、診てあげれるよ?」