俺の言葉を聞いて、少し戸惑いながらも、近くの椅子に腰掛けた桜ちゃん。
「あの…ほんとに私ここに居てもいいんですか?」
「うん、問題ないよ。
気にせずリラックスしてくれていいよ」
「………体調悪くないのに診察室に居るって、変な感じ」
苦笑する桜ちゃんは、診察が苦手な雰囲気を醸し出していた。
「もしかして、診察苦手?」
俺の言葉にビクっとなった。
「い、いや〜。苦手って言うか……
あまり行きたくない場所ですね」
「はは。そっか〜」
ビンゴな答えに思わず笑ってしまった。
「ど、どうして分かったんですか?」
「ん?長年の勘かな〜」
「え?勘ですか」
「そ、勘。って言うか雰囲気かな」
「雰囲気……」
「診察を拒否する雰囲気」
「お医者さんはみんな分かるんですか?」
「……どうだろ…あんまり考えたことなかったけど…
分かる人は他にもいるんじゃないかな?」
「でも、私が行く病院の先生はいつも容赦ないです……」
「ははっ。容赦ないんだ……
じゃぁ、今度俺の診察受けてみる?」
「え?………
それは……恥ずかしいです……」
「そりゃ、年頃の女の子だもんな……
気持ちは分かるよ」
「ほんとですか?……
私が行く病院の先生は恥ずかしい気持ち、汲み取ってくれないんです……」