野上さんが謝りに来てから、毎日少しの時間だけど顔を見せてくれる。

忙しいのに、空いた時間や、仕事終わりに。

どうしてこんな私と関わろうとするのかな…

そんな事を考えてても、入院中は、話し相手がなかなかいないので、少し楽しみだったりする。


コンコンコン

「はぁい」

ガラッ

「こんにちは。昨日は夜勤だったから今日は仕事終わりなんだ〜」

そう言って病室に入ってきた野上さん。

「お疲れ様でした。
疲れてるんじゃないですか?
無理に毎日来てくれなくても…」

「私が来たくて来てるからいいの。
みぃちゃんは気にし過ぎ」

初めて話し相手になってくれた時に、お互いの呼び名を決めた。

野上さんの事は『紗希ちゃん』
私は『みぃちゃん』と呼ばれる事になった。

「でも、私は1日中ベッドのうえだけど、紗希ちゃんは働いてたでしょ?
私の兄達も仕事終りにきてくれるけど、疲れた顔してますよ」

「みぃちゃん、お兄さん居たんだね。
どんな人?」