時が経つのは早いもので。
付き合ってから、もう3ヶ月が経ち、9月になろうとしていた。
私たちは、未だにキスは出来ないままだったけど、お互いが傍にいるだけで幸せを感じていた。
そんなある日。
私は部屋で服を着て鏡の前に立っては、また着替え、を繰り返していた。
「…うーん、どれがいいかなぁ。」
コンコンッ
「陽月ー?入るよ?」
「…おかあさぁん。」
部屋に入ってきたのはお母さんだった。
「ファッションショーなんかして、どうしたの?」
部屋中に散らばる服を見て、クスクスと笑った。
「今日、蕾君の誕生日なのに、服が決まんないの…。」
「あら!そうだったのね。誕生日デートかー♡羨ましい♡」
「ちょっと!///からかわないでよー!!」
「あーあ。お母さんもお父さんとデートしたいなぁー。」
むくれる顔は娘の私から見ても可愛い。
「んー、これは?」
「え?」
お母さんが差し出したのは、アイスブルーのワンピース。
花柄が淡く入っていて、すごくお気に入りな服。
「んー、これに、このカーディガン合わせて、このバック持ってー、あ!この靴可愛いかも!」
お母さんが選んでくれたアイスブルーのワンピース、白のカーディガン、小さめのブラックのショルダーバック、ワンピースと同じアイスブルーのサンダルは、すごく合っていて。
鏡で見て、思わず笑顔になった。
「うん!やっぱり可愛い!さすが私の娘だわー。」
お母さんが満足気に笑った。
「あっ、せっかくなら髪の毛少し巻いてあげようか?」
「えっ、いいの?」
「ストレートより少し巻いてあるほうが可愛いわよ。やってあげるから、座って?」
ドレッサーの前に座ると、髪を何等分かに手際良く分けられた。
その間にコテは温まったようで。
お母さんはやっぱり手際良く、髪を巻いていった。
「…髪、大分伸びたわねー。」
私の髪の毛は肩より下位まである。
最初は、肩につくかつかないか位の長さだった。
それだけ、ここで過ごしているという事。
「…お母さん、私ここに来て良かった。」
「うん?」
「もし、ここに来なかったら、蕾君とも会えてなかったし、こうやって、お母さんに服を選んでもらう事もなかったかもしれないなって。」
そうだ。
この瞬間は、「もし、」の連続で起きた出来事。
全てが「奇跡」なんだ。
「そうね。私もここに来て本当に良かったと思ってるわ。」
「お母さんも?」
鏡に映るお母さんを見る。
私の髪を愛おしそうになでた。
「ここに来てから、陽月変わったわ。
よく、笑うようになった。」
「そう?」
「ええ。自然がたくさんあって、空気が綺麗だってこともあるかもしれないけど…。
何より、蕾君たちに会えたことが陽月を変えたのね。」
私が…、変わった?
そうなのかな?
「蕾君たちに感謝しなくちゃ。
陽月がこんなに元気になったんだから。
…はい、できた!」
鏡を見ると、髪の毛は綺麗にふわりと巻かれていて、なんだかお姫様になったようで、つい笑顔になった。
「ありがと、お母さん。」
「いえいえ。それより、そろそろ行かなくていいの?9時になるよ?」
「あ、もうそんな時間なんだ。40分に有花(ありはな)公園で待ち合わせなの。」
「だったら、そろそろ出たほうがいいわね。気を付けて行くのよ?あそこ、車のスピードが出やすいところだから。」
有花公園は、周りを道路で囲まれた公園で、事故が多発してる公園らしいんだ。
「うん、気を付ける。」
お母さんに選んでもらった靴を履いて、
「それじゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
有花公園は、駅の近くにある広場のようなところで、田舎のここで一番車の通りが多い。
噴水やベンチがあって、綺麗に整えられた花壇にはいつも花が咲いている。
待ち合わせはいつもドキドキする。
大切な人を待っている時間すら、愛しい。
「陽月!!!」
公園の入口から、蕾君が走ってきた。
「はぁ、はぁ、ごめん、遅くなって!!」
すごく息が乱れてる。
「大丈夫!?ちょっと、ベンチ座ろ…」
「本当ごめん!1時間も待たせるとか、本当…」
…え?
1時間?
ケータイを見ると、待ち合わせの時間まであと5分ある。
「ちょ、ちょっと待って!1時間って…何?」
「へ?だから、待ち合わせの時間。」
「…蕾君、これ…」
すっとケータイを出すと時計の欄を見せる。
「待ち合わせまで、5分あるけど…」
こうゆう時って本当に漫画みたいにしーんって音が聞こえそう。
「マジかよ…。」
がっくりとベンチに体を預ける蕾君。
「ご、ごめんね?なんか…」
「なんで陽月が謝んの?俺がバカやっただけじゃん。」
ふはって笑う蕾君。
あ。
この笑顔好きだなぁ。
「ちょっと休んだらさ、行きたいとこあるんだけどいい?」
「う、うん!!あ、なんか飲み物買ってくる!!」
自販機がある入口のほうへ走ろうとすると、
それは蕾君に手を掴まれたことで静止した。
「いいよ。…ここ、いて?」
少し首をかしげる蕾君は、かっこいいというか可愛いというか…!!
その言葉に従うように蕾君の隣に座った。
蕾君と付き合うようになって、蕾君はさらに私に甘くなった気がする。
「…てか、今日のカッコ、めっちゃ可愛い。」
こんな甘い言葉をさらっと言っちゃうあたり、すごいなと思う。
「本当?お母さんが選んでくれたんだ。何着ようか迷っちゃってて…。」
「へー。このワンピース、色好き。」
ふわりと胸元に結ばれた黒のリボンを触る。
あ、と気付く。
「蕾君、いい匂いする。」
「え、まじ?なんもつけてないんだけどな。」
「シャンプーかな?その匂い好き。」
そう言って笑うと、蕾君は少し顔を赤くした。
次の瞬間。
好きだなと思った匂いが近くなった。
ぎゅうっと少しの圧迫感。
抱き締められていた。
「…俺も、陽月の匂い好き。」
首筋に蕾君の息がかかって、胸がきゅう…っとなった。
なんだろ、この感じ。
ドキドキして苦しい。
でも、もっとこのままでいたい。
しばらくして、蕾君がすっと離れて、お互いの真っ赤な顔を見て笑い合った。
付き合ってから、もう3ヶ月が経ち、9月になろうとしていた。
私たちは、未だにキスは出来ないままだったけど、お互いが傍にいるだけで幸せを感じていた。
そんなある日。
私は部屋で服を着て鏡の前に立っては、また着替え、を繰り返していた。
「…うーん、どれがいいかなぁ。」
コンコンッ
「陽月ー?入るよ?」
「…おかあさぁん。」
部屋に入ってきたのはお母さんだった。
「ファッションショーなんかして、どうしたの?」
部屋中に散らばる服を見て、クスクスと笑った。
「今日、蕾君の誕生日なのに、服が決まんないの…。」
「あら!そうだったのね。誕生日デートかー♡羨ましい♡」
「ちょっと!///からかわないでよー!!」
「あーあ。お母さんもお父さんとデートしたいなぁー。」
むくれる顔は娘の私から見ても可愛い。
「んー、これは?」
「え?」
お母さんが差し出したのは、アイスブルーのワンピース。
花柄が淡く入っていて、すごくお気に入りな服。
「んー、これに、このカーディガン合わせて、このバック持ってー、あ!この靴可愛いかも!」
お母さんが選んでくれたアイスブルーのワンピース、白のカーディガン、小さめのブラックのショルダーバック、ワンピースと同じアイスブルーのサンダルは、すごく合っていて。
鏡で見て、思わず笑顔になった。
「うん!やっぱり可愛い!さすが私の娘だわー。」
お母さんが満足気に笑った。
「あっ、せっかくなら髪の毛少し巻いてあげようか?」
「えっ、いいの?」
「ストレートより少し巻いてあるほうが可愛いわよ。やってあげるから、座って?」
ドレッサーの前に座ると、髪を何等分かに手際良く分けられた。
その間にコテは温まったようで。
お母さんはやっぱり手際良く、髪を巻いていった。
「…髪、大分伸びたわねー。」
私の髪の毛は肩より下位まである。
最初は、肩につくかつかないか位の長さだった。
それだけ、ここで過ごしているという事。
「…お母さん、私ここに来て良かった。」
「うん?」
「もし、ここに来なかったら、蕾君とも会えてなかったし、こうやって、お母さんに服を選んでもらう事もなかったかもしれないなって。」
そうだ。
この瞬間は、「もし、」の連続で起きた出来事。
全てが「奇跡」なんだ。
「そうね。私もここに来て本当に良かったと思ってるわ。」
「お母さんも?」
鏡に映るお母さんを見る。
私の髪を愛おしそうになでた。
「ここに来てから、陽月変わったわ。
よく、笑うようになった。」
「そう?」
「ええ。自然がたくさんあって、空気が綺麗だってこともあるかもしれないけど…。
何より、蕾君たちに会えたことが陽月を変えたのね。」
私が…、変わった?
そうなのかな?
「蕾君たちに感謝しなくちゃ。
陽月がこんなに元気になったんだから。
…はい、できた!」
鏡を見ると、髪の毛は綺麗にふわりと巻かれていて、なんだかお姫様になったようで、つい笑顔になった。
「ありがと、お母さん。」
「いえいえ。それより、そろそろ行かなくていいの?9時になるよ?」
「あ、もうそんな時間なんだ。40分に有花(ありはな)公園で待ち合わせなの。」
「だったら、そろそろ出たほうがいいわね。気を付けて行くのよ?あそこ、車のスピードが出やすいところだから。」
有花公園は、周りを道路で囲まれた公園で、事故が多発してる公園らしいんだ。
「うん、気を付ける。」
お母さんに選んでもらった靴を履いて、
「それじゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
有花公園は、駅の近くにある広場のようなところで、田舎のここで一番車の通りが多い。
噴水やベンチがあって、綺麗に整えられた花壇にはいつも花が咲いている。
待ち合わせはいつもドキドキする。
大切な人を待っている時間すら、愛しい。
「陽月!!!」
公園の入口から、蕾君が走ってきた。
「はぁ、はぁ、ごめん、遅くなって!!」
すごく息が乱れてる。
「大丈夫!?ちょっと、ベンチ座ろ…」
「本当ごめん!1時間も待たせるとか、本当…」
…え?
1時間?
ケータイを見ると、待ち合わせの時間まであと5分ある。
「ちょ、ちょっと待って!1時間って…何?」
「へ?だから、待ち合わせの時間。」
「…蕾君、これ…」
すっとケータイを出すと時計の欄を見せる。
「待ち合わせまで、5分あるけど…」
こうゆう時って本当に漫画みたいにしーんって音が聞こえそう。
「マジかよ…。」
がっくりとベンチに体を預ける蕾君。
「ご、ごめんね?なんか…」
「なんで陽月が謝んの?俺がバカやっただけじゃん。」
ふはって笑う蕾君。
あ。
この笑顔好きだなぁ。
「ちょっと休んだらさ、行きたいとこあるんだけどいい?」
「う、うん!!あ、なんか飲み物買ってくる!!」
自販機がある入口のほうへ走ろうとすると、
それは蕾君に手を掴まれたことで静止した。
「いいよ。…ここ、いて?」
少し首をかしげる蕾君は、かっこいいというか可愛いというか…!!
その言葉に従うように蕾君の隣に座った。
蕾君と付き合うようになって、蕾君はさらに私に甘くなった気がする。
「…てか、今日のカッコ、めっちゃ可愛い。」
こんな甘い言葉をさらっと言っちゃうあたり、すごいなと思う。
「本当?お母さんが選んでくれたんだ。何着ようか迷っちゃってて…。」
「へー。このワンピース、色好き。」
ふわりと胸元に結ばれた黒のリボンを触る。
あ、と気付く。
「蕾君、いい匂いする。」
「え、まじ?なんもつけてないんだけどな。」
「シャンプーかな?その匂い好き。」
そう言って笑うと、蕾君は少し顔を赤くした。
次の瞬間。
好きだなと思った匂いが近くなった。
ぎゅうっと少しの圧迫感。
抱き締められていた。
「…俺も、陽月の匂い好き。」
首筋に蕾君の息がかかって、胸がきゅう…っとなった。
なんだろ、この感じ。
ドキドキして苦しい。
でも、もっとこのままでいたい。
しばらくして、蕾君がすっと離れて、お互いの真っ赤な顔を見て笑い合った。


