「俺は夏でもホット派なんだ」
わたしの考えてることがわかったみたいにそう言うと、先生はスタスタと入り口の方へ歩く。
意外と、その見慣れない姿はあくまでも見慣れないだけで、先生の体格には合ってるなと思った。
普通にバスケができそうに見える。
「1時間もすれば戻ってくると思う。もし誰か着たら体育館にいるって言っといて」
「わかりました」
教室を出て行くその背中をずっと見ていた。
………やっぱり、変な先生だなあ。
「俺は夏でもホット派なんだ、だって」
なぜ自慢気なのかはわからないけど、勝手に入ってきたわたしにコーヒーを淹れてくれて。
そして何の係りでもないただの生徒に留守を任せて行くなんて…。
面白いな、先生は。

