これなら集中してできそう。
せっかく物理室にいるんだし、今日は物理でもやろうかな…
なんて考えながらその準備をしていると、コーヒーの匂いが漂ってきた。
一瞬外からかと思ったけど、それは隣の物理準備室からのもののようで。
先生…何を呑気にコーヒーなんて……
そう思ったのは束の間で、片手にマグカップを持った先生がわたしのいる場所まで来た。
「はい、どーぞ」
そのマグカップはたまに先生がわたしにコーヒーを出してくれる時に使われてるもので、
そしていつものようにそこからは湯気が立っている。
「…ありがとうございます」
嬉しいけど、もうホットコーヒーの季節ではないような…。
まだ5月とはいえ、半袖でも過ごせるくらいだ。
現に先生は半袖を着ている。

