「一応バスケ部の副顧問なんだよ。今日は顧問の代理で出なくちゃで」
淡々と話している先生だけど、とこか気だるそうで。
きっとめんどくさい…って思ってるんだろうな。
「その割りにちゃんとジャージなんですね」
「その割りにってなんだよ」
あ、つい心の声の続きのまま話しちゃった。
「スーツ着た奴が体育館いたらおかしいだろ。だから一応」
めんどくさいくせにちゃんと形から入ろうとする先生が、
すごく先生っぽくて。
見慣れない姿も合わせてなんだか可笑しかった。
「先生、ここで勉強しててもいいですか?」
「ん?ああ…別にいいけど、俺しばらくいないから」
「大丈夫です。待ってます」
いつもは座らない一番窓側の席に座ると、
少し開いた窓から涼しい風が入ってきて、わたしの頬をくすぐった。
すごく心地がいい。

