わたしだけ、きみだけ


島田先生はその大きな手でひかるちゃんの頭をポンポンと叩くと、
そのまま体育館に向かって歩いて行った。


姿が見えなくなるまでジッとそれを見つめていたひかるちゃんは、
今までで一番かわいくて。

恋する女の子は、なんて顔をするんだと思った。


「………はあ〜〜〜っ」


一気に力が抜けたのか、その場にペタッと座り込む。


「びっっっっくりしたあ〜……」


さっきまであんなに笑顔だったのに、今じゃ顔を真っ赤にしてうつむいてる。

ほんとに、百面相。

恋っていろんな顔があるみたい。


「あたしの声が聞こえたから来たとか……先生ずるくないっ!?」

「わたしもびっくりした!」

「あ、確かにそらとハモったよね」


こんなわたしでも、あの言葉を聞いて驚かずにはいられなかった。