わたしだけ、きみだけ


………ダメだ。

わからないことだらけだ。


携帯を取り出そうとして鞄を開けると、今日借りた恋愛小説が自分の存在をアピールしてきた。


ちょうどいい。

今日帰ったらこれを読んで勉強しよう。


そう思い静かにファスナーを閉めるのと同時に、ひかるちゃんが戻ってくるのが見えた。

ひかるちゃんはなんだか楽しそうで、鼻歌をフンフン歌いながらこっちへ来ている。


なんであんな楽しそうなんだ…?


「自分で気づかなきゃ、楽しくないもんねっ」