むしろ、何をここまで力んでたんだろう、わたし。


無意識に握りしめていた手は、少しだけ汗をかいていた。


「今年は隣のクラスの副担任なの。見たことないかなー」

「うーん。どんな先生?」

「爽やか!もう爽やかとしか言いようがないくらい、爽やかなんだよね」


頭の中には、その爽やかな姿が浮かんでいるんだろうな。

ひかるちゃんのピンクが、さらに濃くなる。


「先生、去年から教師になったから若くてさ。
で、フレンドリーだし優しいしかっこいいし……モテるんだよねぇ……」


突然何かが背中にのしかかったかのようにテーブルにうなだれるひかるちゃん。


おとととっ。

紅茶が落ちないように支える。


「あ、ごめんそら」

「ううん」