ガヤガヤうるさい店内。

周りの席はさっきも今も学生で埋まっている。

一瞬でこの状況が変わるはずないなんてわかってるんだけど。


不思議と、何も聞こえなくなっていた。


…………先生…?


周りの音が聞こえなくなった代わりに、ドクドクという自分の心臓の音が全身に響いてる。


なにこれ。

わたし、どうしたっていうの。


「あ…やっぱ変だよね……」

「え、や、そっそんなことないよ!」


わたしの反応を見てそう思ったのか、ひかるちゃんは申し訳なさそうに笑う。


変だなんて思ってない。

ひかるちゃんが好きになる人なら、誰だってそんな風には思わない。


じゃあなんで、わたしはさっきみたいに笑顔になれないんだろう。


「年も離れてるし、あたしだって最初はうるさいおっさん!って思ってたんだけど」

「…うん」

「去年の夏休みからかな?気づいたら先生に会いたいから学校に行ってたんだあ」


ひかるちゃんは思い出してるのか、少しほっぺがピンクに染まっている。