少しだけひかるちゃんの笑顔が曇る。
好きになっちゃいけない人?
芸能人とかでもないのに、そんな人がいるのかな。
よくわかんないけど、実は学校にいるとか?
「それって?」
「んー。そら、絶対誰にも言わないでね!あたし、そらにしか言えないと思うから」
わたしを見るひかるちゃんの目が、少し苦しそうで、でも決心みたいのも見えて。
本気で言っているんだと思った。
「うん。絶対言わないよ」
まず言える人なんていないんだけどね…。
そんなことを言える雰囲気ではなかったので、おとなしく自重した。
「あたしが好きなのって…」
言う前に、周りを確認してから、ちょっとだけわたしに顔を近づける。
さっきからずっとうるさい店内だけど、心なしか少しだけボリュームが下がった気がした。
ひかるちゃんは、小さな声でつぶやいた。
「先生、なんだ」
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