「ね、佐藤さん」

「うん?」

「そらって呼んでいい?」

「えっ!」


突然の提案に驚く。

ほんとに、突然すぎて。


「なんか名字じゃ壁を感じるし、佐藤って名字いっぱいいるじゃん!
うちのクラスにも佐藤って男子いるし」


確かに、佐藤くんって男子いる。

わたしの斜め前の席だったけど、授業中ずっと寝てるイメージしかない。


「それに、そらっていい名前、呼ばなきゃ損じゃん!」


"ひかる"って名前を付けたご両親は、この子の将来がわかっていたのかな?


そう思わせるほどに、水島さんの笑顔は眩しかった。


「同じ名前が平仮名同士、お互い名前で呼ぼっ!ね?」