何も気づいていないかのように、教科書を開いて先生に見せる。

笑ってるわたしを見て先生は不思議そうだったけど、
すぐにわたしが指差した箇所に夢中になっているようだ。


「あーこれか。これは確かに理解しがたくて混乱するんだけど…」


教師の顔というよりは、好きで仕方ないって顔してる。


おもしろい。

先生がこんな人だったなんて。

今日はいろんなことを発見できたいい日だ。

きっと晩御飯はオムライスに違いない。


「………なるほどっ!」

「意外と難しくないんだ、実は」


その後は結局、チャイムがなるまでのほぼ一時間、ずっと物理を教わっていた。

先生は基本的なことでも嫌な顔せずしっかり教えてくれて、
おかげでだいぶ物理のわだかまりがなくなった。