「?なんだよ」
偉そうな先生がおかしくて、マグカップを両手で持ったまま、笑ってしまう。
「なんでもないです」
授業中は、生徒の態度は諦めてただ話してるんじゃなくて、
きっと物理に夢中になってるから気にならないんだ。
先生が物理が大好きなのは、この参考書を見ればわかる。
確かにちょっと古いけど、8年前のものには見えないくらいしっかりしてある。
先生が大事に扱ってる証拠だ。
それに、ブラックだと思ってたコーヒーは、
わたしと同じようにしっかりミルクティー色。
見た目はすごく大人だけど、実は先生って、子供っぽいんだなー。
そう思うと、先生がかわいく見えた。
「で、わかんないとこってこれなんですけど」
「え?ああ、どれ?」

