考えが追いついてないわたしを、先生はいつもの顔でジッと見てる。
メガネ越しだけど、垂れ目なのがよくわかる。
目元が、また意外と優しそうっていう……
ってそんなことはどうでもいいんだよ!
「じゃあ…さっきの授業のとこじゃなくてもいいですか?」
「いいよ」
「えっとですね」
コーヒーを左手、教材たちを右手に抱えてるわたしは、
どうしたらいいのかわからなくなってあたふたする。
キィッ…と椅子が動く音がしたと思うと、先生は立ち上がっていて。
わたしの右手を塞いでたものたちをひょいと持ち上げてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「こっち座って」
と先生が差した椅子は、先生のものとは違ってただのパイプ椅子。

